吃音(きつおん)とは、話すときに言葉がつまったり、同じ音を繰り返したりして、スムーズに話せない状態のことです。子どもが吃音に悩んでいると、保護者や先生も「どう支援すればいいの?」と不安になるかもしれません。
この記事では、家庭・学校・専門機関それぞれでできる吃音の支援方法を、具体例を交えながらわかりやすく解説します。
吃音の基本的な理解
吃音は病気ではなく、成長過程で起こることも多い現象です。特に3〜5歳ごろの子どもは、言語の発達に伴って一時的に吃音が現れることがあります。
ただし、長期間続いたり、本人が強いストレスを感じていたりする場合は、支援が必要になることもあります。
【家庭】でできる支援
1. 子どもの話を最後まで聞く
話し方に注目するのではなく、「何を伝えたいか」に耳を傾けることが大切です。
例えば、子どもが「き、き、きょうはね、こうえんにいったの」と話していたら、途中で「公園ね」と言い直すのではなく、最後まで聞いてあげましょう。
✕「公園ね、楽しかった?」
〇「そうなんだ、公園に行ったんだね。何して遊んだの?」
2. ゆっくり、落ち着いた話し方を心がける
家族が早口で話していると、子どもも焦ってしまい、吃音が目立ちやすくなります。
テレビやスマホを消して、落ち着いた環境で会話することも有効です。
3. 無理に治そうとしない
「ゆっくり話して!」「もう一回ちゃんと言って」などと指摘すると、子どもは話すことに自信を失い、余計に話せなくなることがあります。
まずは、その子の話すペースを尊重することが大切です。
【学校・園】でできる支援
1. 話しやすい雰囲気をつくる
発表や自己紹介の場面は、吃音のある子にとって緊張の連続です。
先生が事前に「発表はグループでやってもいいよ」などと配慮したり、無理に発言させないようにしたりすることが支援になります。
例:「○○くんが言いやすいときに発表してね」「紙に書いて提出でも大丈夫だよ」
2. 友だちへの理解を促す
クラスでのいじめやからかいを防ぐには、吃音について正しく伝えることが重要です。
学級活動などで、「人によって話し方が違うことは自然なこと」と伝え、安心できる環境を作りましょう。
【専門機関】での支援
吃音が長引いていたり、学校生活に影響が出ている場合は、専門機関の力を借りることも検討しましょう。
1. 言語聴覚士(ST)による言語訓練
言語聴覚士は、話し言葉の専門家です。子どもの状態に合わせて、ゆっくり話す練習や、リラックスして話せる工夫などを一緒に行います。
例:ゲームをしながら、話すテンポを整える練習をする
絵本を読みながら、子どもがリラックスできる場面をつくる
2. 児童発達支援センター・医療機関
地域の児童発達支援センターや小児科、耳鼻咽喉科でも相談を受け付けている場合があります。
発達全体のバランスを見てくれるので、吃音以外の不安も一緒に相談できます。
まとめ|安心できる環境がいちばんの支援
吃音のある子どもは、「うまく話せない自分」に戸惑いや不安を感じていることがあります。
家庭でも学校でも、まずは安心して話せる場所をつくることが一番の支援になります。
無理に治そうとせず、子どもの気持ちに寄り添いながら、必要に応じて専門機関とも連携していきましょう。
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