吃音(きつおん)とは?
吃音とは、言葉をスムーズに話すことが難しくなる発話の障害の一つです。日常会話の中で、ことばの出だしが詰まったり、音を繰り返したり、引き伸ばしたりすることで、うまく話せないと感じることがあります。
日本では、およそ100人に1人が吃音のある話し方を経験していると言われています。年齢が上がるにつれて自然に改善することもありますが、大人になっても続くケースもあります。
吃音の種類は主に3つ
吃音にはいくつかのタイプがあります。症状の現れ方によって、以下のように分類されます。
① 連発性(言葉の連続)
単語や音節を何度も繰り返してしまうタイプです。
例:
「ぼ、ぼ、ぼくはね…」
② 伸発性(引き伸ばし)
音を引き伸ばしてしまうタイプです。
例:
「ぼーーーくはね…」
③ 難発性(ブロック)
言いたいことは頭の中にあるのに、言葉が出てこずに止まってしまうタイプです。
例:
「(……)ぼくはね…」と沈黙が続く。
人によっては、これらのタイプが複合的に現れることもあります。
吃音の原因は?
吃音のはっきりとした原因は、現在のところ完全には解明されていません。しかし、次のような要因が関係していると考えられています。
- 脳の情報処理や神経伝達の特徴
- 遺伝的な要素
- 発達中のことばのスピードと処理のアンバランス
- 心理的なストレス(ただし、ストレスが「原因」ではなく「きっかけ」となる場合も)
大切なのは、吃音は本人の努力不足や育て方の問題ではないということ。専門家の間でも、**「誰にでも起こりうる話し方の特性のひとつ」**として理解が広がっています。
「吃音はうつる」はウソ!正しい理解を
「吃音はうつる」といった誤解や迷信が、今でも一部に残っていますが、これはまったくの事実無根です。
吃音は感染症ではなく、他人に話し方がうつることはありません。
こうした誤解が、吃音のある子どもや大人を孤立させたり、自信をなくす原因にもなってしまいます。
正しい理解と、あたたかい関わりがとても大切です。
吃音はなおせるの?
吃音に「これをすれば完全に治る」という魔法のような方法はありませんが、症状を軽くしたり、話しやすくなるよう支援する方法はたくさんあります。
- 言語聴覚士(ST)による専門的な支援
- 話しやすい環境づくり
- 自己理解や自信を育むかかわり
早期の対応や周囲の理解によって、本人が自分らしく話す力を育てていくことが可能です。
吃音のある人とのコミュニケーションで大切なこと
吃音があるからといって、話す力や考える力が劣っているわけではありません。大切なのは、「最後まで話を聞こう」という姿勢と、「言い直させない」「急かさない」などの配慮です。
吃音を持つ人にとって、安心して話せる相手がいることはとても心強いものです。
次回の記事:「吃音の支援方法とは?家庭・学校・専門機関でできること」
吃音をもつお子さんや学生さんを支援するために、家庭や学校、そして専門機関ではどんなサポートができるのでしょうか?次回の記事で詳しく解説します。
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