「うちの子、まだあまり話さないけど大丈夫?」
子どもの言語発達には個人差がありますが、周囲の子どもと比べて著しく遅れが見られると、不安になる親御さんも多いものです。言語発達遅滞の原因はさまざまで、一つの要因だけでなく、複数の要因が組み合わさることもあります。この記事では、言語発達遅滞の主な原因と、早期発見・相談の重要性について解説します。
言語発達遅滞の主な原因
1. 聴覚の問題(難聴・中耳炎など)
言語の発達には「聞く」ことが不可欠です。先天性の難聴や、中耳炎による聞こえにくい状態が続くと、言葉の習得が遅れることがあります。軽度の難聴は気づきにくく、適切な支援が遅れるケースもあるため、聴覚検査を受けることが大切です。
2. 知的発達の遅れ
知的発達に遅れがある場合、言語の理解や表出にも影響が出ることがあります。ダウン症やその他の遺伝的な要因、出生時の低酸素状態などが関係することもありますが、適切な療育や言語支援により、言葉の発達を促すことができます。
3. 自閉スペクトラム症(ASD)
自閉スペクトラム症(ASD)の子どもは、コミュニケーションへの関心が低かったり、言葉の模倣が少なかったりするため、言語発達が遅れることがあります。エコラリア(オウム返し)や独特な話し方が見られることも特徴の一つです。
4. 言語環境(言葉の刺激不足)
言語の発達には、大人との豊かなやりとりが不可欠です。家庭での会話が少なかったり、一方的に話しかけることが多かったりすると、子どもが自発的に言葉を使う機会が減ってしまいます。
また、近年ではスマートフォンやタブレット、テレビの視聴時間が長くなることによる影響も指摘されています。画面からの情報は受け身になりやすく、言葉を使ってコミュニケーションを取る経験が不足しがちです。
「動画視聴が子どもの言語発達にどのような影響を与えるのか?」について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
➡ [子どもの動画視聴と言語発達の関係性について]
5. 発達性言語障害(DLD)
発達性言語障害(DLD: Developmental Language Disorder)は、明確な知的障害や聴覚障害がないにもかかわらず、言葉の理解や表現が困難になる障害です。語彙の増加が遅い、文法的な誤りが多い、会話がぎこちないといった特徴があります。DLDは周囲から気づかれにくいため、言語発達に不安がある場合は、専門家に相談することが重要です。
6. 神経・脳の機能障害
出生時の脳損傷や、てんかん、脳性まひなどの神経疾患が言語発達に影響を与えることがあります。また、注意欠如・多動症(ADHD)の場合、注意を持続することが難しいため、言語の理解や会話のやりとりに課題が生じることがあります。
7. 早産や低出生体重児
早産児や低出生体重児は、脳の発達が未熟な状態で生まれるため、言語発達が遅れやすくなります。特に、出産時に合併症があった場合や、新生児集中治療室(NICU)での長期管理が必要だった場合は、影響が出ることがあります。
言語発達の遅れを感じたら?相談できる場所
子どもの言語発達が気になる場合は、早めに相談することが重要です。以下のような場所で相談できます。
- 地域の保健センター・保健所(乳幼児健診や発達相談を実施)
- 児童発達支援センター(発達に特化した支援を提供)
- 小児科・耳鼻科(聴覚検査や診察を受けられる)
- 言語聴覚士(ST)による相談(専門的な言語評価と支援を受けられる)
特に、2歳を過ぎても単語が少ない、3歳になっても二語文が出ない、指示が通りにくいなどのサインが見られた場合は、早めに専門機関に相談することで、適切な支援を受けることができます。
言語発達を促す家庭でのサポート方法
「子どもの言葉を増やしたいけど、どうしたらいいの?」
家庭でできる言語発達を促す方法については、以下の記事で詳しく解説しています。
➡ [家庭でできる言語発達を促す方法]
日常生活の中でできる工夫を取り入れながら、子どもの言葉の発達をサポートしていきましょう。
まとめ
言語発達遅滞の原因は、聴覚の問題、知的発達の遅れ、自閉スペクトラム症、環境要因、発達性言語障害、神経・脳の機能障害、早産など、さまざまな要因が考えられます。
しかし、共通して言えるのは「早期発見・早期支援が大切」ということです。
お子さんの言葉の発達が気になる場合は、地域の保健センターや言語聴覚士、小児科の医師などに相談してください。一人で悩まず、専門家と一緒にお子さんの発達を見守っていきましょう。
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